「狼ゲーム」はStudio Wasabiのノベルゲーム第2弾、前作「嘘つきゲーム」が格段にパワーアップしたようなゲームです。タイトルから類推するに人狼をアレンジしているようにも見えますが、人狼のような駆け引きを楽しむというよりかは、雰囲気・世界観を楽しむ事を主眼に置いて作られた印象を受ける作品です。
大手ゲーム紹介サイトは10分から1時間のプレイでゲーム批評記事を書きますが、当サイトは「エンディングまで到達した」ゲームのみを批評するようにしております。
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記憶を失くした主人公は、突然、部屋の中で目を覚まします。そこには男女12人が居て、誰も部屋に監禁された理由が分からない状況です。ここまでの展開は前作と同じで、「ソウ」「CUBE」等のソリッド・シチュエーション・ホラーの典型的なオープニングでゲームが始まります。
ソリッド・シチュエーション・ホラーは「ソウ」「CUBE」などの映画に代表される、限られた状況下にある人間の極限の状態をスリリングに描いた作品を指す和製英語です。邦画ならば「インシテミル」、漫画広告でよく見る作品ならば「リセットゲーム」などが該当します。
その後はゲームマスターがゲームルールを説明しようとしますが、誰一人、ゲームマスターに従おうとはしません。で、この後の展開は電気ショックのお仕置き。下手に凝らずに、ソリッド・シチュエーション・ホラーのお約束の展開で「塩大福と日本茶」と同じくらいの抜群の安定感の展開です。
しかし、みんなはその場に立ち尽くし、声に従う人はだれもいなかった。
不気味な声:
ちょ、ちょっとみなさん!言うこと聞いてください!
小島タケオ:
いいから早くここから出せ!俺は警察だぞ!
不気味な声:
警察だろうと、ここから出すわけにはいきません!
新村コウ:
じゃあ、どうしたら出れると言うんだ?
不気味な声:
もぉ!言うこと聞かないなら罰を受けてもらいますよ!30秒だけ待ちますからね!
「狼ゲーム」とのタイトルですが、人狼のような駆け引きを楽しむようなゲームではなく、情報収集と推理で構成されるシンプルなノベルゲームと言った方が適切です。商用系なら「逆転裁判」、インディーズ系なら「犯人は僕です」などを思い浮かべれば、ほぼほぼ認識違いはないでしょう。
まずは計3フロアから4フロアの部屋で犯人の証拠品を探します。部屋数が前作よりも格段に増え、ボリュームは1.5倍から2.0倍くらいに感じるかもしれません。
証拠品を集め終わったら、証拠品を用いて犯人を追及します。
「嘘つきゲーム」の続編という事もあり、「狼ゲーム」はかなり前作と比較するとかなり進化しています。
今作は人狼をシンプル化したようなルールですので、真相究明だけでなく、自信に疑いが向かないよう誤魔化すシナリオもあります。疑いがかからないよう、話の主導権を握りましょう。
人狼をアレンジしたルールなので、狼役に襲われる事もあります。以下のスクリーンショットの場面、誤答を選ぶと、本当に刺されます。
今回の作品は、かなりの大ボリュームです。恐らく前作の1.5倍から2.0倍くらの大ボリュームになっています。
「大ボリュームという事はトゥルーエンドは面倒なのかな」と思いきや、SKIP機能を実装してありますので、答えを覚えているならば2周目はSKIP & SKIPのサクサクプレーです。
物語の舞台としては「嘘つきゲーム」の十数年後の設定になっています。微妙に「嘘つきゲーム」とリンクする部分もありますので、「嘘つきゲーム」を遊んでからの方がより楽しめるでしょう。
前作同様、ゲームクリアに必要ない証拠品が沢山登場します。このゲームはクリアだけなら非常に容易な謎解きになっていますが、クリアに関係ない証拠品を眺める事で徐々に真相が分かるようになってきます。
前作、同様2周目で初めて登場する証拠品もあります。最短ルートでサクッとクリアするのではなく、むしろ、最遅ルートでじっくり証拠品を眺めながら進めるのが、当サイトのオススメの楽しみ方です。事実、前作「嘘つきゲーム」では、ゆっくり世界観を楽しみながらプレーする実況動画が人気を集めています。
前作以上に各登場人物の設定を入念に行っている印象で、前作同様に参加者の罪状探しのお楽しみもあります。どいつもこいつも、狼ゲームに参加してしまうようなウラミを買うような証拠品が出てきます(これら証拠品はゲームクリアとは関係ありません)。