「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。トップ画像

ヒュプノノーツ2はストーリー重視の1次元ローグゲームです。1作目に比べるとイマイチ流行っていませんが、私はヒュプノノーツ1よりもヒュプノノーツ2の方が面白いと感じています。ヒュプノノーツ2が流行っていないのは、「未完成版でリリースしてしまった」「ヘルプ機能不十分で操作を理解していないプレイヤーが多い」「難易度が高すぎる」という特殊な事情のため、低めの評価が下されています。このページでは、そんな不遇のヒュプノノーツ2の魅力をお伝えします。

 

ヒュプノノーツ シリーズ

ヒュプノノーツ シリーズは、自身のトラウマと葛藤するストーリー重視のRPGです。自分自身や知人の深層心理を見る事ができる枕が開発されたという設定の世界観の中で、目を背けたくなる過去と少しずつ対峙する事で主人公は徐々に成長していきます。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。岸辺のLayer説明の場面

 

ヒュプノノーツ1は幻想的な世界で「幼少期の約束を守る」「白馬の王子様」というような単純明快なストーリーであるのに対し、ヒュプノノーツ2はカウンセリングの実例で存在しそうな生々し過ぎる人間の内面を描いています。前作ヒュプノノーツ1はノスタルジックな雰囲気を支持していた方には、受け入れ難い作品になっているようです。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。生々し過ぎて支持されない。

 

参考
ヒュプノノーツ2の主人公と似たカウンセリング事例
ヒロユキコさんの告白 ネタバレ注意

 

ヒュプノノーツ2の進化点

ヒュプノノーツ1は万人受けする無難なRPGです。一方、ヒュプノノーツ2はプレイヤーを選ぶニッチ向けなRPGです。以下、ヒュプノノーツ1クリア済の方向けに、ヒュプノノーツ2が向いているかどうかの観点でレビューします。

なお、ヒュプノノーツ1とヒュプノノーツ2は密接に関係したストーリーですので、まずはヒュプノノーツ1のトゥルーエンドを見ておく事をお勧めします。

 

生々しすぎる人間模様

前作ヒュプノノーツ1では、1人の内面を描いたストーリーでした。今作ヒュプノノーツ2は、文学部修士課程1年生である主人公だけでなく、その周辺人物も含め何らかのトラウマを抱え、悩み葛藤している様子が描かれます。

前作ヒュプノノーツ1では、茉莉の内面を第三者視点である主人公から見て物語が展開されるので、ある程度、客観的に物語が進行されます。今作ヒュプノノーツ2では、トラウマを抱えた主人公視点で話が展開されるので、主観的視点で主人公にとって都合良い描写でストーリーが展開されます。話が進むにしたがって、(特に恋愛に関しては)「なんだ、主人公にも非があるじゃん」と思うような場面も結構あります。有名所のゲームで言えば主人公が統合失調症であるファイナル・ファンタジー7、映画で言えば主人公が犯人だったシャッターアイランドのような感じです。

 

複雑な人物相関

前作ヒュプノノーツ1では殆どが茉莉の内面を描いた話でしたが、今作ヒュプノノーツ2は様々な登場人物の思惑が複雑に絡み合います。ヒュプノノーツ1およびヒュプノノーツ2の第4章までで、各登場人物の前提説明がなされます。ヒュプノノーツ2 第5章が始まった時点で、ある事件をきっかけに登場人物全員が行動を開始します。

ネタバラシしない程度に、登場人物の相関関係を表すと以下のような図になります。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。人物相関図

 

進化したシステム

ヒュプノノーツ1に比べると、ヒュプノノーツ2はシステム面でかなりの進化をしています(人によっては仕様が複雑過ぎてついていけないようで「ゴチャゴチャしている」との酷評もあります)。

アイテム枠と装備

ヒュプノノーツ1は所持アイテム数の上限はありませんでしたが、ヒュプノノーツ2にはアイテム枠と装備の概念があります。必殺技も武器も装備しなければ使用する事ができないため、状況に応じた事前準備が必要になります。例えば、道中ならば消費の少ない必殺技を装備し、ボス戦ならば消費の大きい必殺技を装備する等の戦略が考えられます。

ヒュプノノーツ1に比べると、ヒュプノノーツ2はアイテムや技が限定的ですので、何を残して何を捨てるかの判断に非常に迷う頭を使うゲームです。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。装備画面

 

感情ダメージ

ヒュプノノーツ2にはHPを削る物理的なダメージの他、感情ダメージと呼ばれる概念があります。怒, 悲, 恐, 虚の感情が存在し、敵の中にはこれら感情を逆なでする敵も居ます。例えば、「恐」が閾値を超えると状態異常の「不安」になります。閾値超えが1種類の感情ならばまだ敵と戦えるのですが、2種類の感情が閾値を超えると「混乱」状態になり、毎ターン1ダメージを受けます。さらに、3種類、4種類の感情が敷居値を超えると、毎ターン時間減少、毎ターン夢P消費などの手に負えないくらいの悪い状況になります。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。感情ダメージを受けると・・・。

 

感情ダメージはHPに比べると回復が難しく、感情ダメージが蓄積すると再起不能になる可能性があります。感情ダメージを連発する敵については、手遅れになる前に戦いを避けて「逃げる」などの戦略が求められます。

感情ダメージを多く使用する敵が登場するのは第3章(Layer3)終盤からです。それまでは、特に感情ダメージを意識しなくてもクリアできます。

 

ヒュプノノーツ2の不遇

私はヒュプノノーツ2はゲームそのものは面白いと感じていますが、リリース戦略, 高難易度, 予算制約などのゲームの中身以外での失策で著しく評価を下げていると感じています。

 

未完成版リリース

ヒュプノノーツ2は全6章のゲームですが、初回リリースは2章まで完成した時点です。

ヒュプノノーツ2が盛り上がるのは第5章に入ってからです。第1章, 第2章は第5章の前提説明に当たる章で、続きが読みたくなるような工夫に若干かけているようなストーリーの展開でした。第1章はよく分からない大学サークルのウェーイなノリ、第2章は陰湿なイジメと不登校の話。最後までプレーすれば「点と点が繋がって線になる」面白さが感じられるのですが、第1章, 第2章の時点では何が何だかよく分からない状況です。

そんな事情もあり、google playの平均評価点はかなり低めになっています。google playのレビューを読む時は、最後までプレーした人の批評かどうかを判断しつつ、情報を取り入れるようにしましょう。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。最後もりあがる。

 

高難易度

前作ヒュプノノーツ1に比べると、ヒュプノノーツ2はかなり難しいです。そのせいもあって、話が盛り上がる第5章に到達できず辞めてしまった方も多く居るかと思います。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。下方修正すべきとの意見あり

「選択肢の時間制限でミスる原因となる」とのレビューですが、これは言おうとしたけど言えなかった主人公の内面の演出です。このゲームは演出が伝わりづらく、プレイヤーに誤解を与えている側面があります。

「金稼ぎなんて殆ど無理ゲ」とのレビューですが、これも説明不足による誤解と思われます。コツさえ掴めばお金稼ぎができるようになります。

 

難易度というのはプレースタイルによる所があります。少ないプレー回数でのクリアを目指すならば、ヒュプノノーツ2はかなり難しいゲームです。

ですが、前作に比べるとヒュプノノーツ2は育成要素が多いため、ゲームオーバーを繰り返し徐々に育成すれば、いつかクリアできるように設定されています。ですので、考え方によっては、ヒュプノノーツ2の方が簡単と結論づける事もできます。例えば、ゲームオーバーになると最大HPと制限時間が増えますので、徐々に難易度は下がります。

ヒュプノノーツ1の第五部は育成要素が全く存在しないため、クリアできるかどうかは完全にプレイヤーのスキル依存になります。そう考えると、いつかクリアさせてくれるヒュプノノーツ2は簡単なゲームと考える事もできます。

ヒュプノノーツ1に比べると序盤の運要素によるゲームオーバーがなくなったので、難易度は高いですがゲームバランスは丁寧に調整されていると私は感じました。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。ゲームオーバー画面。最大HPがあがった気がする・・・。

 

予算制約

予算制約のため、色々と不完全なゲームになってしまいました。やや不完全な所もありますが、プレイヤーがちょっと我慢するだけで、楽しくプレーできるかもしれませんので、我慢のコツをお伝えします。

製作者様には、今回の失敗を活かして、次回作では予算制約に抵触しないよう機能を盛り込み過ぎないよう配慮して頂く事を期待しています。

 

操作性

前作ヒュプノノーツ1に比べると、操作はやりづらい感触があります。前作ヒュプノノーツ1は「片手でも操作できるように」というコンセプトで作られたゲームなので、操作ミスが少ないユーザインターフェースになっています。今回の作品は、葛藤を演出したかったのか、敢えて「慎重な操作」を演出しています。

この「慎重な操作」が裏目に出ているのか、最初の1時間くらいは操作しづらいと感じるでしょう。ですが、1時間我慢すれば、操作に慣れてきて大きなストレスを感じないようになってきます。

 

説明不十分

真相心理を「手探り」で少しずつ明らかにする様子を演出したかったのか、わざと説明不十分にしている印象を受けました。古いゲームならば、説明書に書いていない仕様を手探り(しかも、当時はインターネットが発達していなかった)で明らかにするのはよくあるパターンですが、近年は「説明不要なくらい直感的なインターフェース」か「親切なヘルプ機能」が当たり前になっているので、現代人には受け入れられないのかと私は勝手に分析しています。

 

コレジャナイ感

製作者自身も気づいており嘆きのツイートをしていますが、イラストが前作と違い過ぎて不評のようです。特に魔法少女と主人公は不評なようです。

嵐山と茉莉は雰囲気変わっていない感じはしますが…。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。魔法少女のコレジャナイ感。

 

ヒュプノノーツ2 ストーリー チラ見せ

MSXが届く

主人公の家にMSXという枕のような機械が届きます。彼氏と連絡が取れなくなったの同時にMSXが届いた事を考えると、主人公は居ても立ってもいられずMSXを使ってみます。

ある日、不思議な荷物が届いた。
送り主は京都の『果て無き夢』という会社。『果て無き夢』は彼氏の勤め先だが、荷物に心当たりはない。
中身は見たことのない電化製品だった。飾り気のないA4のコピー用紙に走り書きのメモがあった。

○○さん、はじめました。私はすごく困っています。○○さんの助けがどうしても必要です
そのためにMSXを送りました
見覚えがないと思うかもしれませんが あなたは既に使い方を知っているはずです

夢の中で待ってます

・・・なにこれ 彼氏にしては文章がよそよそしい。

『果て無き夢』には彼氏以外の知人はいない。しかし○○とは私のことだろう。
使い方がわかるハズと言われても 見覚えがないのにわかる訳がない。MSXなんて聞いたこともない。
装置は枕のような形をしていた。電源ケーブルが付属しているが、・・・ちょっと怪しいすぎる。

だけど気になることがある。

彼氏との連絡が途絶えて …もう二日以上たつ。代わりに会社からこの荷物が届いた。

この荷物に何か意味があるのだろうか 手紙の主はだれだろうか 彼氏は・・・隆さんは、
今どこにいるのだろう 助けを求めているのだろうか わたしに?

気がついたら右手が 電源ケーブルをコンセントに差していた。
スイッチは見当たらない。くぼみに頭をおさめてみたら 機械が勝手に動き出した。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。オープニング引用。

 

Layer 1 学士1年生

MSXは使用者の深層心理を覗き込む装置のようです。心理にはLayer(層)があり、見たくない認めたくない心理ほど深いLayer(層)に存在します。1番目のLayer(層)は主人公と彼氏(嵐山 隆雪)が付き合うようになったキッカケの話です。

主人公は嵐山から告白される場面で、オーケストラを始めたキッカケについて問われます。ですが、どうしてもキッカケを思い出せないようです。

嵐山 隆雪:
○○○ちゃんって経験者って聞いたけど
何がきっかけで楽器始めたの?

主人公:
昔、友達が居て

嵐山 隆雪:
友達の影響?

主人公:
えっと、すみません。話がまとまらなそうなので…

嵐山 隆雪:
え、俺は気にしないけど

主人公:
えっと、忘れました

嵐山 隆雪:
ええーっ!
ここまで来たら話そうよ~

主人公:
本当に覚えてないんです

○○○は記憶を掘り起こしたが、
浮かんでくるのは断片的な記憶ばかりで、今ここで話がまとまりそうになかった。

主人公:
えっと、友達がいたのは確かです。
でもその友達が楽器をやっていた訳ではなくて
その友達も友達と言っていいのかわからなくて
なんて言うか…

嵐山 隆雪:
ふーん
よくわからないけどさ、
なーんか過去に何かありそうだね?
話してくれていいよ?
いや、偉そうに言っている訳ではなくて
単純に俺が聞きたい、というか

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。オーケストラを始めたキッカケ

 

Layer 2 小学生

2番目のLayer(層)は主人公 小学生当時の記憶です。近所に引っ越してきた同級生に音楽を勧められ、主人公は家で音楽を聞くようになります。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。小学校の同級生に音楽を勧められる

 

ヒュプノノーツ2 個人的な感想

企画 シナリオ ゲームシステムとしては 非常に面白く前作を上回る面白さと評価します。

しかし、「説明不十分」「イラストが前作と違い過ぎる」「(初期バージョンは)不具合が多い」など 見た目として目立つ減点が多いため、本来の面白さに気づく前に離脱したユーザが多いのではないかと感じています。

顧客向け資料を作成するのが得意な先輩から「どんなに中身が素晴らしい提案書でも、誤字1つで評価50%減になると思え」と指導されたのを思い出しました。このゲームも似たような評価ではないでしょうか。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。ハンドルネームを空欄にすると、チュートリアルでフリーズする不具合あり。

 

主人公の生々しい心理描写は、臨床心理や教育の分野の書籍で語られている内容と同じで、実はよく取材して作った(もしくは企画者は教養がある?)ゲームである事が分かります。

また、ヒュプノノーツ2は、夢の世界だけでなく現実世界の大きな犯罪に主人公らは巻き込まれていき、スケールの大きいファンタジーとしてもワクワク感を楽しむ事ができます。

「ヒュプノノーツ2 」のレビュー。非三法(ヒミツホウ)の説明シーンを引用。

非三法(ヒミツホウ)って知ってる?

正式名称は私も知らない
なぜなら普通の国民には見えない法律だから
見えない法律というのはどういう事かというと
ごく一部の人間はその法律の条文の全文を閲覧できる
運用に関わる立場にある人間は条文の一部を閲覧できる
一般人には法律の存在すら知らない、名前すら目に触れる事がない

<中略>

私が実用化した脳波誘導技術は
雨天堂さんを通して政府の耳に入りヒミツに指定された
本来ならヒミツに関連するような研究は実験段階で公安にマークされて
ポッと出の一般人が携わる事はできなし
研究が進む過程でいろいろ圧力がかかって
実用化する事には権力に取り込まれている