十三怪談(七怪談)」の救出成功(トゥルーエンド)、ノーマルエンド、バッドエンドのエンディング全文を公開します。プレーする気はなくなったけどエンディングが気になる方向けのネタ晴らし資料です。ストーリーによっては、バッドエンド ノーマルエンド 救出成功のすべてを見ないと話がつながらないものもあります。

都市伝説「きさらぎ駅」
都市伝説「きさらぎ駅」

救出成功 ノーマルエンド バッドエンド 全文公開

藤田つぐみ 「テケテケ」

藤田つぐみ : バッドエンド1

話は聞かないと拒まれ、
つぐみは一人バスを待ち続けた。
…後日、大学のバス停前で女性の変死体がみつかった。
上半身と下半身を切断されている状態だったという。

「テケテケ」 バッドエンド1
「テケテケ」 バッドエンド1

誰かに助けを求めようとしたのか、手にはスマホがしっかりと握りしめられていたそうだ。

藤田つぐみ : バッドエンド2

「そうよね、ちゃんと見ないと…」

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「テケテケ」 バッドエンド2
「テケテケ」 バッドエンド2

友人の助言に従い、
つぐみは振り返った。
…後日、大学のバス停前で女性の変死体がみつかった。
上半身と下半身とを
切断されている状態だったという。
誰かに助けを求めようとしたのか、手にはスマホがしっかりと握りしめられていたそうだ。

藤田つぐみ : バッドエンド3

音が近づいてくる。
つぐみは耐え切れず、
「地獄に帰れっ…!」
叫ぶと同時に振り返る。
すぐ後ろには、何もなかった。

「テケテケ」 バッドエンド3
「テケテケ」 バッドエンド3

―遠くに、笑顔があった。
笑顔の張り付いた上半身だ。
「…っ!―――」
悲鳴を上げるよりも先に、
上半身は高速で目の前に現れ、
鎌を振り上げた。
…後日、大学のバス停前で女性の変死体がみつかった。
上半身と下半身とを
切断されている状態だったという。
誰かに助けを求めようとしたのか、手にはスマホがしっかりと握りしめられていたそうだ。

藤田つぐみ : ノーマルエンド

つぐみは、一度も振り返らずに走った。
「っはぁ、はぁ…!ここまでくれば―」
ようやく駅が見え、人の姿も見えてきた。
そのときだった。
「…!?」
誰かに、二の腕をつかまれた。
「だいじょうぶか。」
けれど、つぐみを叫ぶ声は
明らかに男性のもので、
…聞き覚えがある―
「…先生!?」
思わず振り返った。
つぐみは放課後、先生に
わからないところを教えてもらっていた。
人に会えたことで緊張が解け、
一気に涙が溢れでた。
「私ここまで走ってきたんですよ、
先制、よく追いつけましたね。」
「……。」
「…先生?」

「テケテケ」 ノーマルエンド
「テケテケ」 ノーマルエンド

「……あれ、先生どうして、
私がここにいるって
わかったんですか?」

藤田つぐみ : 救出成功

つぐみは、ふと足を止める。
背中に感じていた嫌な気配が、
…すっかり消えていたのだ。
思い切って振り返る。
「…なんだ、だれも、居ないじゃない。」
そうしてつぐみは駅まで歩き、
無事に帰宅した。
「…充電、切れてるんだった。」
つぎみは友人に無事を知らせようと、
スマホを充電し起動した。
「なに、これ…?」
メッセージアプリを起動すると、
身に覚えのない会話があった。
”いそいでいくわね”
つぎみはある予感が脳裏をよぎり、
一気に青ざめた。
”この話を聞いてしまった人のところには、
三日以内に半身身が無い
女性の霊が現れるんだって”

「テケテケ」 救出成功
「テケテケ」 救出成功

「私が話したのって、
一人だけよ……。まさか……。」
「…おねがい、逃げて。」

レイ 「口裂け女」

三原れい : バッドエンド1

じっと動かず、通りに立つ女。
うつむいて顔は見えないが、肩が震えているように見える。
得体の知れない恐怖だった。
「そうだよね…遠回りしよう。」
三原は進路を変え、女に背を向けた。

「口裂け女」 バッドエンド1
「口裂け女」 バッドエンド1

―すすり泣く声が、
耳元で聞こえた気がした。
…後日、とある高校が臨時休校となった。
学校の裏通りで、女生徒の惨死体が発見された。
死体は、口元が大きく切り裂かれていたという。

三原れい : バッドエンド2

女は問いかけた。
”ァ,,,,,,タ,,,シ,,キ,レ,,イ”
ひどくつぶれた声だった。
れいがすがるようにスマホに目を落とすと。
「…ポマード?」
ことばを確かめるように、声を出したときだ。
一瞬、女が反応したように見えた。

「口裂け女」 バッドエンド2
「口裂け女」 バッドエンド2

「ポマード、ポマードポマード!」
れいは何度も女に向かって叫び続けた。
友人を信じて、何度も何度も、叫び続けた。
二枚の刃が重なる、最期の瞬間まで。

三原れい : バッドエンド3

れいは、友人のメッセージに全てを託した。
「…正直に言うけど、とてもキレイだと思う。」
女は、黙ったままだ。
「あたし、…家に帰らないとだから。」
れいは女に背を向け、再び歩き始めた。
…。
歩くこと数十分。
足音が、ふたつ。
れいは、家の前で立ち止まった。
「…どうして、ついてくるの…。」
後ろの気配に問いかける。
その問いには答えてくれなかったが、振り返らずとも、わかった。
”ァ,,,,,,タ,,,シ,,キ,レ,,イ?”
「もう、いやっ…!」
ハサミの切った先が、今にも振り下ろされようとしていた。
「お母さ……っ」
大声で叫べば、必ずここへ来てくれる。
必ず来て、守ってくれて、
そして、お母さんも―
その先を想像したれいは、
喉元まで出かかった言葉を、
ぐっと飲み込んだ。

「口裂け女」 バッドエンド3
「口裂け女」 バッドエンド3

女はコートに、返り血を浴びる。
外気に触れた血は、やがて黒く変わりはじめていた。

三原れい : ノーマルエンド

れいは、爪を眺めていた。
「今日こそ、爪を綺麗にしてもらわないと。
綺麗に…。」
???「れい、遅れてごめんねぇ?」
クラスの友人が三人、揃ってやってきた。
友人A「その剥げた”ネイル”、…ほんっと~にごめ―ん!悪気はなかったんだぁ~?」
友人B「あははは、ウソでしょ、ぜったいわざとだったじゃ~ん!」
「あ、う、うん!全然気にしてないよ!」
友人C「え、なんか怒ってな―い?」
「…怒ってないよ!な、なんで?そう、見える?」
友人A「れいってさぁ、ちょっと無愛想なところあるよね~!」
友人B「あ、わかるわかる!」
友人C「なんかいつも怒ってるようにも見えるんだよねー。」
「……本当に?」
友人A「あ~…」
友人A「…”口元のせい”かなぁ?あははは!」
とある日、れいは美容外科を訪れていた。
「もっと上なんです。っもっと、口角を、…これじゃ、またみんなに嫌われる……。」
傍らにいた外科医は、目を逸らしながらこう告げた。
「もう十分きれいですよ、…これで終わりに―」

「口裂け女」 ノーマルエンド
「口裂け女」 ノーマルエンド

「じゃあ、」
「もう一度だけ、最後にもう一度だけ、お願いします。」

三原れい : 救出成功

れいは、綺麗な爪を眺めていた。
れいはネイルサロンに行き、綺麗になった爪で学校へと登校したのだ。
学校はつまらない。…けれど、今日は少し気分がよかった。
「三原さん、そのネイル素敵だね!」
たったその一言だけ。
クラスメイトの何気ない一言が嬉しかった。
…れいは今日も一人で帰っていた。
少し、小走りで帰っていた。
足音が、ふたつ。
「…また、だ。」
ついてくる足音が、すぐ後ろに迫ってきた。
”ァ,,,,,,タ,,,シ,,キ,レ,,イ?”
れいは足を止め、振り返る。
「…それはもう、答えたでしょ。」
”ァ,,,,,,タ,,,シ,,キ,レ,,イ?”
「…そう。か。」
れいは、ふと今日の出来事を思い出す。
”三原さん、そのネイル素敵だね!”
たかが爪かもしれない。
けれど、気付いてもらえたことが、嬉しかった。
れいは捨て身の覚悟で、女の腕をつかんだ。
「へぇ、あなた、けっこう綺麗な手しているのね。」
今、声は震えてないだろうか。
「ハサミより、こっちのほうが似合うんじゃない。」
れいは女の手に、赤いマニキュアを握らせた。
「あなた、もっと綺麗になるよ。」
女はじっとマニキュアを見つけ、視線をれいに移す。

「口裂け女」 救出成功
「口裂け女」 救出成功

れいに背を向け、黙したまま去っていく。
…寒空の下、黒いコートを着た女が一人、赤く塗られた爪を、いつまでもみつめていた。

鳥井 「わらしべ長者」

鳥井ひろむ : バッドエンド1

「そうだよな、俺も仕事中なんだし…。」
鳥井はそう思い直し、少女を置いて再び歩き出した。
「お人形、ちょうだい。」
いつまでついてくる気だと苛立ち始めていたが、無視して歩き続けた。
「お人形―」
「もう、なんなんだよ…!」
少女の呼び止める声を振り切って、鳥井は夢中で走り出した。
横断歩道の信号が、青から赤に切り替わったことにすら、気付かなかった。

「わらしべ長者」 バッドエンド1
「わらしべ長者」 バッドエンド1

ざわつく声、サイレンの音。
周囲の人々が、トラックにはねられた男を囲むなか、藁人形を腕に抱いた少女が一人、笑っていた。

鳥井ひろむ : バッドエンド2

鳥井が母親を置いて、横断歩道を渡ろうとしたときだ。
「あなたの押し花、譲ってください。」
その言葉に、鳥井はその場でピタリと足をとめた。
額にじわりと、汗がにじむ。
「あの…、」
「どうして俺が押し花持ってること、知ってるんですか。」
鳥井は一度も、見せていない。
母親は、その問いに答える代わりにこう言った。
「その花の名前、知っていますか?母の日に贈る、花ですよ。」
会話にならない。
娘を亡くしたばかりでマトモじゃないんだろう。
そう判断した鳥居は、母親を無視して足早に歩き続けた。
横断歩道の信号が、青から赤に切り替わったことにすら、気付かなかった。

「わらしべ長者」 バッドエンド2
「わらしべ長者」 バッドエンド2

ざわつく声、サイレンの音。
周囲の人々が、トラックにはねられた男を囲むなか、赤い押し花をみつめる女が一人。
「すぐに、会えるわ。」

鳥井ひろむ : バッドエンド3

こんなにおいしい話、見逃す手はない。
「こんなドレスでよければ、差し上げます。」
答える鳥井に、男が口を歪めて笑った。
……。
車を譲り受けて、すぐに次が現れた。
「どういう、こと…だ。」
鳥井の元に、警察が訪れた。
「母娘なんて…ひくわけないだろう!なにかの間違えだ!!」
車のナンバープレートの目撃情報により、横断歩道を歩行中の母娘を車ではねた男を危険運転致死傷罪の疑いで逮捕したという報道が流れた。

「わらしべ長者」 バッドエンド3
「わらしべ長者」 バッドエンド3

調べに対し男は、「観音様のお告げだ」等と意味不明な供述をしており…。

鳥井ひろむ : ノーマルエンド

鳥井は男に頭を下げ、車を見送った。
去り際、男の舌打ちが聞こえた気がした。
車を降りた鳥井は、取引先の会社へと向かった。
商談は思うように進まなかった。
契約を諦めかけた鳥井だったが、ひょんなことから、家族の話題が持ち上がる。
相手はため息をついてこう言った。
「今日は娘の誕生日なんですが、すっかり忘れておりまして。」
「今日は帰りが遅い上、手ぶらで帰ると娘はきっと悲しむことでしょう。」
”娘”と聞き、目の前の男に、さきほど会った母親が重なって見えた。
「娘さん、お幾つぐらいですか?」
鳥井は商談を中断し、親身に対応した。

「わらしべ長者」 ノーマルエンド
「わらしべ長者」 ノーマルエンド

鳥井は空を見上げる。
手に、あのドレスはなかった。
「観音様の、おかげかもな?」
鳥井は商談を成立させ、契約を取ることに成功した。
翌月、ほんの少しだけ給与が上がっていたそうだ。

鳥井ひろむ : 救出成功

鳥井は、車に乗せてもらっていた。
「僕の車と、そのドレスを交換しませんか?」
その問いに、鳥井が答えようとしたときだ。
「…?」
ドレスに、何か白い紙切れが挟まっていることに気付いた。
紙切れを取り出してみると、血文字で平仮名一文字と四桁の数字が記されていた。
これが何かと考えていると、
「お兄さん、着きましたよ。…交換、しますよね?」
男は再び交渉してきた。
「すいません…。」
断ると、男の舌打ちが聞こえた気がした。
……。
鳥井は男に頭を下げ、車を見送る。
ふと、男の車の、後部ナンバープレートが目に入った。
「……あの数字。」
手元の紙と、同じ数字をしめしていた。
後日。
車のナンバープレートの目撃情報により、横断歩道を歩行中の母娘を車ではねた男を危険運転致死傷罪の疑いで逮捕したという報道が流れた。
母娘の遺族は、目撃者に心から感謝し、”多額の謝礼金”を渡したという。

「わらしべ長者」 救出成功
「わらしべ長者」 救出成功

「まさか、こんな結末になるなんて…。」
鳥井はこの報道ニュースを、広いリビング、高級なソファに腰掛けワイングラスを片手に見ていた。
報道から数日と立たない内に、逮捕された男は変死を遂げる。
傍らには、藁人形が転がっていたそうだ。

☆ちとせ☆ 「赤い紙、青い紙」

小町ちとせ : バッドエンド1

“赤 青 選べ”
「赤、…青…。」
思い浮かんだのは未完成の絵。
「足りない、あの絵に…、」
足りない、絵の具の色は-
…夜、戸締りに回っていた職員が鍵のかかった女子トイレをみつけた。
ノックに応える声はない。
不審に思った職員が鍵を開けると、顔面蒼白の女生徒が倒れてきた。

 「赤い紙、青い紙」 バッドエンド1
「赤い紙、青い紙」 バッドエンド1

同時に職員は目にする、
壁一面真っ赤に染まった個室を。

小町ちとせ : バッドエンド2

迷ったちとせは、赤を選んだ。
「とにかく、この階からでなくちゃ、…!」
いつもはあっという間に降りてしまう怪談が、
無限に続くように感じた。
「おかしい…。」
体感にして、数十分が経つ頃、
やがてそれは確信に変わる。
「もう、ずっと降りてる。」

 「赤い紙、青い紙」 バッドエンド2
「赤い紙、青い紙」 バッドエンド2

てすりから階下を覗く。
途方も無く続く怪談の先に、黒く深い闇が広がっていた。

小町ちとせ : バッドエンド3

“シ゛、……は、゛……さい”
直後、スピーカーの電源はプツンと音を立てて切れた。
「え…なに、どういうこと?」
ちとせが誰にともなく問いかけたとき、背後に足音を聞いた。
「だれか…、」
願うような気持ちで振り返ると、青い男と目があった。
「い、いやだ!!!!!!!」
ちとせは走り出していた。
走って、走って、
「あ、…!」
職員室まであと少しというところで、足がもつれて倒れこんでしまう。
職員室の扉のすきまからは、光が漏れている。
「あと、少しー」
光に手を伸ばすようにして立ち上がったとき、ちとせの肩に、青い手が置かれた。

 「赤い紙、青い紙」 バッドエンド3
「赤い紙、青い紙」 バッドエンド3

“つかまえた”
“シ゛、……は、゛……さい”
“4シ゛44分になりました 生徒は、速やかに隠れて下さい”
さもないと

小町ちとせ : ノーマルエンド

「今のうちだ。…おうちに、帰らなきゃ。」
震える足でどうにか立ち上がり、青い男がいないことを確認して、校庭を目指した。
校庭まで出るとちとせは、崩れるように地面に座り込んだ。
そしてちとせは、ホッと息をつく。校内から、脱出したのだ。
青い男は折ってこない。
「これ、かった。」
腰が抜けたから、立ち上がれない。
そう、思った。

 「赤い紙、青い紙」 ノーマルエンド
「赤い紙、青い紙」 ノーマルエンド

「…!」
地面から生えた手が、座り込んだちとせの足首をつかんでいた。
…。ちとせは、手を伸ばした。
校庭を走る生徒に助けを求めるように、
地面から手を伸ばした。

小町ちとせ : 救出成功

「今のうちだ。…おうちに、帰らなきゃ。」
どうにか立ち上がろうとしたが、膝が笑ってうまく力が入らない。
「逃げなきゃ、……!」
足音はすぐ近くまで迫っていた。」
ガラッと勢いよく教室の扉が開く。
「だれかいるの?」
その声は、
「…小町さん?まだ学校に居たの?」
教室を見回りに来た職員だった。
瞬間、体が軽くなったように感じた。
…もう、声を押し殺さなくていい。
それがわかって、ちとせは声を上げて泣いた。
翌日の学校は、昨日の出来事がなかったかのようなにぎやかさだった。
「…いつもと、変わらない。」
「あ…私の”絵”置きっぱなしだ!」
昨日置き忘れた”絵”を思い出し、美術室へと向かった。
「この絵、完成できなかった…。」
まだ少し寂しいその絵に、

 「赤い紙、青い紙」 救出成功
「赤い紙、青い紙」 救出成功

”こんどは つかまえる”
「……え、」
身に覚えのない文字が、書き足されていた。

すずな 「日本人形」

花本すずな : バッドエンド1

「うん、そうする、こんな気味悪い日本人形…。」
すずなは人形を縄で縛り、外で持ち出した。
近くの小学校を通ったとき、古びた焼却炉が見えた。
「そうだ、あれを使えば…。」
生徒の姿はなく、行内には簡単に入ることが出来た。
すずなは日本人形を黒いビニールに詰め、何度も何度も踏みつけて壊した。
「さようなら、あなたは…要らない。」
そうして焼却炉に放り込んだ。
―瞬間、目の前が真っ暗になった。
「なに…、真っ暗、…動けないっ、」

「日本人形」 バッドエンド1
「日本人形」 バッドエンド1

古びた焼却炉の、扉が閉じられる音と共に、
”すずな アナタハ…要ラナイ”
自分の声を聞いた。

花本すずな : バッドエンド2

「うん、…見なければどうってことない。」
すずなは人形を箱に詰め、クローゼットの奧深くへと押し込んだ。
「これで…大丈夫。」
……。
真夜中、チクチクと肌を刺す不快な感触に目を覚ました。
「……っ!」

「日本人形」 バッドエンド2
「日本人形」 バッドエンド2

クローゼットの隙間という隙間から、黒い髪が伸びていた。
声は出せなかった。
…後日、女性の変死体がみつかった。
首には爪で引っ掻いた跡が見られ、胃の中から大量の黒い髪が出てきた。

花本すずな : バッドエンド3

「これで…今度こそ。」
すずなは小型監視カメラを玄関に設置し、日本人形を捨てに行く。
捨てに行く道中、ふと思う。
「そういえば、あの日本人形、…誰にもらったんだっけ。」
思い出せなかったが、特に気に留めなかった。
家に着いたスズナは、カメラの録画をチェックする。
「無駄だったかな…。」
早送りでしばらく見続け、再生が終わろうとしたときだ。
「……え。」
刃物を持った男が玄関を通り、部屋の奧へと入っていった。
続くようにすずなが玄関に現れたところで録画が止まる。

「日本人形」 バッドエンド3
「日本人形」 バッドエンド3

背後に、声を聞いた。
”す ず な 忘れたか”
…後日、アパートの一室で女性の惨死体が発見された。
ほどなくして隣人の男が逮捕される。
”贈ったものを捨てられ、裏切りに感じた”
と動機を供述しており、長きに及ぶ計画的犯行と見て捜査が進んでいる。

花本すずな : ノーマルエンド

すずなは、日本人形をみつけていた。
あれから捨て続けても帰ってきた。
神社で供養もお願いしたが、燃えたはずの日本人形は帰ってきた。
部屋に居る日本人形を見て、ふとあることに気付く。
「帰ってくるけど、…私には何もしてこないんだよね。」
すずなは遠ざけず、あえて放置することを選んだ。
…数年後。
すずはな結婚した。
「隣人と趣味が同じだなんて、素敵な偶然だよね。」
家中、たくさんの人形であふれていた。
その中の一体に、あの日本人形の姿もあった。
すずなは幸せに過ごしていたが、ひとつだけ悩みがあった。
子どもに恵まれなかったのだ。

「日本人形」 ノーマルエンド
「日本人形」 ノーマルエンド

ときどき、夢に人形達が現れてこう言う。
”いちばん あいして”

花本すずな : 救出成功

すずなは捨て続けていた。
神社で供養もお願いしたが、燃えたはずの日本人形は帰ってきた。
ある日ふと、すずなは思う。
「どうして、今になった私の前に現れたんだろう。」
ぼんやり考えながらクローゼットを開けた時だった。
服に埋もれるようにして、赤い布端が見えた。
拾い上げるとそれは間違えなく、すずなが時間を掛けて作った人形用のドレスだった。
「こんなところにあったなんて。」
バラバラになったお気に入りの人形、無くなったドレス。
ある予感がすずなの脳裏をよぎる。
「日本人形を見つけたのは、ドレスが完成した日…。」
「あなた、もしかしてこれが着たかったの?」
答えるはずがないとわかっていながら、思わず問いかけた。

「日本人形」 救出成功
「日本人形」 救出成功

「う―ん……驚いた、ピッタリだね。」
想像以上にドレスが似合っていたせいか、思わずその仕上がりに満足した笑みが浮かんだ。
「それ、私の、自信作なんだからね…。ふあ、眠い…。」
時間は0時を回っている。
眠りに落ちる瞬間、日本人形が笑っているように見えた。
…翌朝。
すずなが目を覚ますと、赤いドレスが枕元にあった。
部屋のどこにも、日本人形はいなかった。

月島 「おむすびころりん」

月島としき : バッドエンド1

“よこせ”
「なんだよこの声…嫌にきまってんだろ。」
それきり、声は聞こえない。
月島は声を無視して、穴に背を向けた。

「おむすびころりん」 バッドエンド1
「おむすびころりん」 バッドエンド1

後日、公園で青年の変死体が見つかった。
首が無かったそうだ。

月島としき : バッドエンド2

“声”は更に求めた。
“もっ と よこせ”
「もう、何も持って無えよ…。」
月島は声を無視して、穴に背を向けた。

「おむすびころりん」 バッドエンド2
「おむすびころりん」 バッドエンド2

「は…?」
月島は前に、自分の影よりも大きな影が落ちた。
ーーーゴト。
視界が回転し、地面に転がる音を聞いた。
“転、転 …げて穴の中”
「あ゛…ァあ゛、」
首から下を残し、”穴”に、転がり落ちた。
“転、転 もげて穴の中”

月島としき : バッドエンド3
「おむすびころりん」 バッドエンド3
「おむすびころりん」 バッドエンド3

「じゃあ…、」
月島はつづらを手にとった。
小さなつづらを開け、スマホのライトをかざす。
「…まじかよ。」
つづらいっぱいに、札束が詰まっていた。
「おい、本当にもらっていいんだな?」
“御礼に つづらを あげましょう”
再び声が返ってきた。
「…まじか、サンキュ!…あいつにも教えてやらねえとな…、」
「…で、どこから帰ればいいんだ?」
返ってくる声は、二度と無かった。

月島としき : ノーマルエンド

月島は、つづらを取らなかった。
「何も要らない、だからー」
…。
気が付くと、元居た公園のベンチに座っていた。
「悪い夢でも見てたのか…。」
しかし、すぐにその考えは取り消される。
傍らに、大きなつづらがあったからだ。
ガタ。
つづらが音を立てて動いた。
「…なんだ。動物でも閉じ込められているのか?」
月島は、大きなつづらを開けた。
公園は、子供たちの声でにぎわっていた。
「ねえ、おむすびころりん、知ってる?」
「おおきなつづらは、家に帰るまで
開けちゃだめなんだよ。」
「どーして?」
「お化けが出てきて、連れて行かれるんだって。」

「おむすびころりん」 ノーマルエンド
「おむすびころりん」 ノーマルエンド

公園のベンチで、空っぽのつづらが見つかった。

月島としき : 救出成功

「何も要らない、だからー」
…。
気が付くと、元居た公園のベンチに座っていた。
「悪い夢でも見てたのか…。」
しかし、すぐにその考えは取り消される。
傍らに、小さなつづらがあったからだ。
…月島は、小さなつづらに手を伸ばした。
「…まじかよ。」
蓋を開けると、つづらいっぱいに札束が詰まっていた。
月島はその後、小さなつづらを警察に届けた。
しかし持ち主はみつからず、月島は再び札束を手に入れた。
黒い穴は、あの日から一度も見てなかった。
公園にも変わらず足を向けているが、黒い穴はみかけない。
ある日の休憩時間、月島は公園を訪れる。
この日も公園は、小さな子ども達が駆けまわっている。
昼食を食べ終えた月島が公園を出ようとしたときだ。
足に、ボールが当たった。
「あ、いつも居るお兄ちゃんだ、ボール取って!」
振り返ると、小さなこどもが駆け寄ってくる。

「おむすびころりん」 救出成功
「おむすびころりん」 救出成功

「…ほら、ボール要らないのか?」
こどもは月島から一定の距離を置いている。
「どうしてお兄ちゃんの後ろ、いつも黒い穴があるの?」

琴音 「コックリさん」

浜崎ことね : バッドエンド1

「…断らないと、だよね…。」
ことねは、友達の待つ教室へと向かった。
「ことね、遅いんだけど。」
「あの…、やっぱりやめない?」
「ふーん…じゃあ、」
「こっくりさんは、やめてあげる…。」
友達が、見下すような冷笑を浮かべた。

「コックリさん」 バッドエンド1
「コックリさん」 バッドエンド1

…翌日から、ことねは一人になった。
友達は友達でなくなり、
…ことねは度重なるいじめに遭った。
「ねぇ、…しんで?」
…とある学校で、女生徒の首吊り自殺があった。

浜崎ことね : バッドエンド2

ことねは10円玉から指を離し、友人の手を引いて教室を飛び出そうとした。
「……まって。」
「友人は立ったまま動かない。
その目は焦点が定まっておらず、何もない窓の外をみつめていた。
「浜崎さん、先に帰ってて。」
友達に苗字で呼ばれたのは初めてだった。
いつになく優しい友人に違和感を感じたが、ことねは友達に逆らわない。
「…じゃあ、帰るね。」

「コックリさん」 バッドエンド2
「コックリさん」 バッドエンド2

…とある学校で女生徒の飛び降り自殺があった。
最後に話をした女生徒は徐々に精神を病み、通院を続けているという。

浜崎ことね : バッドエンド3

10円玉は、”いいえ”の位置から動かない。
「…ありがとう、ございました。」
震える声でそれだけいうと、逃げるようにして友達と教室を飛び出した。
翌日登校すると、友達はいつになく笑顔だった。
「浜崎さん、天気は悪いけど、今日はとても気分がいいの。」
友達に苗字で呼ばれたのは初めてだった。
はっきりとした違和感を感じていたが、ことねは友達に口答えをしない。

「コックリさん」 バッドエンド3
「コックリさん」 バッドエンド3

「少し外に出てくるわね。」
そう言い残して、友達は教室を出て行った。
その日の受領は午前で終わった。
女生徒の飛び降り自裁があったからだ。
遺書にはこう書かれあった。
”あなたも しんて゛”
最後に話した女生徒は徐々に精神を病み、
通院する日々が続いているという。

浜崎ことね : ノーマルエンド

ことねは考えた。
なぜ、こっくりさんは帰らないのか。
「こっくりさん、なぜお戻りにならないのですか。」
すると、それまで微動だにしなかった10円玉が動き出した。
”4か゛つ27かしんて゛”
「…どういうことだとう…。」
意見を求めるように友達を見ると、友達は青ざめた顔でぶつぶつと何かをつぶやいていた。
「…なさい、…なさい。」
「…こめん、なさい…。」
友達が震える声で口にしたのは、謝罪のことば。
それが何に対する謝罪かはわからなかったが、…10円玉は鳥居の位置にもどった。
終わりが訪れた証だった。
「……こっくりさん、帰ったのかな…?」
脱力したようにことねは肩を落とし、友達に問いかける。
「誤ったから、帰ってくれたのかな…?」
「……。」
友達は答えず、無言で教室を出て行った。

「コックリさん」 ノーマルエンド
「コックリさん」 ノーマルエンド

「…もう、私も帰ろう。」
ことねは、帰ることだけに意識が向いていたせいか文字の載った紙を置いて帰った。
翌日、教室で文字の載った紙が見つかった。
みつけた生徒はこう言った。
「こっくりさんに使った紙って、…」
その日の内に48つに破らないとー

浜崎ことね : 救出成功

ことねは首をかしげていた。
こっくりさんが帰らない理由を聞くと、
”4か゛つ27かしんて゛”
それをひたすら繰り返したのだ。
「4月、27日、…なにかー」
「ご、ごめんなさい!!!…おねがい、ゆるして。」
突然、友達が震えた声で謝罪のことばを口にした。
…10円玉は鳥居の位置にもどっていた。
終わりが訪れた証だった。
「……こっくりさん、帰ったのかな…?」
脱力したようにことねは肩を落とし、友達に問いかける。
「謝ったから、かえってくれたのかな…?」
「…ごめんなさい、ごめんなさい!」
友達委はせきを切ったように泣き出し、謝罪の言葉を繰り返した。
「…どうして、謝っているの?」
ことねが問うと、友達はゆっくりと話し始めえた。
さかのぼること一年前、4月27日、
友達は、大人しい性格の女の子をいじめていたそうだ。
”ほんとアンタって、見ててムカつく。……なぇ、”
”しんで?”
その日の内に、女の子の首吊り死体がみつかったという。
”4か゛つ27かしんて゛”
そこまで聞いたところで、
ことねは泣きじゃくる友達の背中を優しく撫でた。
「…あのこっくりさんは、その女の子の霊なんだ…。」

「コックリさん」 救出成功
「コックリさん」 救出成功

「つまり…」
「あなたって、人殺しなんだよねぇ…?」
ゾッするほど、優しい声色だった。
…翌日から、二人の立場が大きく変わった。
ことねに、友達は逆らわない。

ほのか 「だるまさんがころんだ」

菊池ほのか : バッドエンド1

「そう、怖いなら確かめればいいだけ…。」
「ほのかはスマホを置いて紙を洗い始める。

「だるまさんがころんだ」 バッドエンド1
「だるまさんがころんだ」 バッドエンド1
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うつむき頭を屈め、目をつむり、
両手の頭の上にそえられた。
その体制はまるでーー
”だ るま さん が ころん だ”
「……だれっ!!」
背後に気配を感じて
とっさに背後を振り返った。
「…もう、なんだよ……、なにもーー」
ほのかは背後から視線を移し、上を見上げた。
……。
一週間後。
近隣住民の通報により、とあるマンションの浴室から女性の遺体がみつかった。

菊池ほのか : バッドエンド2

「ほんと、…この黒い水はどこからー」
ほのかは肩に注視した。
ーポツ。
肩に黒い滴が落ちてきた。
「え…………?」
シャワーノズルから出る水は、
絶え間なくほのかの足元に降り注ぐ。
「シャワーの水じゃない、
…これ・・は…………」

「だるまさんがころんだ」 バッドエンド2
「だるまさんがころんだ」 バッドエンド2

天井の通気口から、
ほのかを見下ろす顔があった。
「………ッっ、ぇ………!!??!」
声にならない声をあげるほのかに向かって
通気口から黒い水を滴らせた手が伸びた。
……。
浴室に声が響く。
「………に、助け、るま、痛。、」
真っ赤に染まった浴室で、
彼女はただその場で助けを呼ぶだけだった。

菊池ほのか : バッドエンド3

「開いて!!!!」
ほのかは何度も何度も、
飛田に体を打ち付けた。
”ウエニ コイ”
ざらざらとして声に反応するように、
電球は点滅を繰り返した。
「やめて……!!!」
ほのかは強く目をつむった。
「…だれか、だれかーー!!誰かっ!!!」
隣の住民に聞こえるほど声を張って、
助けを呼び続けた。
床が滑りやすくなっていることなど、
気に回るはずがなかった。
「あーー」
ーゴッ。
重い音が浴室に響いた。
……。

「だるまさんがころんだ」 バッドエンド3
「だるまさんがころんだ」 バッドエンド3

とあるマンションで、
大肥を聞いた住民がとなるの部屋にかけつけた。
女性はすでに息はなく
転倒による事故死として処理された。

菊池ほのか : ノーマルエンド

「はぁ~馬鹿にみたいにさわいで
恥ずかしい……。」
ほのかは扉に手をかけ、
落ち着いて扉を観察した。
「あ、これが引っ掛かってたのか……!」
身を屈めると、
風呂場と脱衣所を隔てる扉の下、
スリッパの先が挟まっていた。
「…えー私、脱衣所に
スリッパはいてきたっけ?」
「まぁでもこれはほんと、笑えるよ…
スリッパで騒いでたなんて。」
「そうだ…!」
ほのかはこの一部始終の出来事を、
次のブログ記事にしようと決めた。
今までの恐怖など忘れ、
ほのかは揚々と扉を開いた。
「お楽しみの前に、お肌の保湿ケアは
しっかりしておかないとね。」

「だるまさんがころんだ」 ノーマルエンド
「だるまさんがころんだ」 ノーマルエンド

浴室から踏み出す刹那、
ほのかの視線が
脱衣所の鏡に向けられた。

菊池ほのか : 救出成功

ほのかは扉をよく観察した。
「あ、これが引っ掛かってたのか……!}
身を屈めると、
風呂場と脱衣所を隔てる扉の下、
スリッパの先が挟まっていた。
「うん……これから少し、」
”落ち着いて行動しよう”
そう、身を引き締めた。
「そして早く、寝よう…。」
友達に素直に従ったほのかは
着替えを澄ませ、
脱衣所を出て行こうとした。
ーガ、
ガッ…ガッ
「な、なに……?」
その音は風呂場から聞こえる。
…扉に顔を近づけた瞬間だった。

「だるまさんがころんだ」 救出成功
「だるまさんがころんだ」 救出成功

”ウエニ ハヤク コイ”
すりガラス越しには、何者かはわからなかったが、追い縋るように扉を叩いていた。
「っ…ひ、いや!!!!!」
ほのかはなりふり構わず
部屋を飛び出し、
すぐに大家に連絡を取った。
……。
それから間もなく、
ほのかのマンションを越した。
ほのかの部屋の真上にあたる位置、
上の階の浴室で、
女性の惨死体がみつかった。
現場に手足がなかったそうだ。
たぶん、早く見つけに来てほしかったんだよね……。」
「さて、今日もバスタイムといきますか♪」
それからというもの、ほのかは最上階にしか住まなくなったという。

ひろえり 「きさらぎ駅」

広瀬えり : バッドエンド1

えりは、駅を抜ける人影を追った。
「きっとこの先に……。
しっかりと、見失わないように
人影に注視して後を追い続けた。
ーふと。
町中であれば、当然見えてくるはずの、あるものがないことに気付く。
「……降りたときから
どこにも、明かりが。」
えりは背中の皮膚一面が粟立つのを感じ、引き返そうと踵を返した。
「………あ、」
赤墨色の広がる景色を見たえりは一言、
「……どうやって、ここまで来たっけ?」
「…今から戻るより、あの人についていったほうが安全よね。」

「きさらぎ駅」 バッドエンド1
「きさらぎ駅」 バッドエンド1

えりが過ぎ去った場所に、さびれた看板がひとつ転がっていた。

広瀬えり : バッドエンド2

改札を抜けてすぐだった。
駅の外に、黒塗りの車が停車するのが見えた。
「…あれ、タクシー…?」
後部座席の扉が開かれたことで、えりは車に歩み寄る。
「あれ……?」
運転手のほかに、後部座席に白衣を着た男が複数名乗車しているのだ。
えりが質問するより早く、運転手が言った。
「相乗りになりますが、よいですか。」
「……え、あー…。」
「相乗りになりますが、よいですか。」
奇妙なイントネーションで、同じ質問を繰り返され、えりが言いよどんだときだった。
「えっーー」
ふいに背中を押され、白衣の男に挟まれる形で無理やり乗車させられたのだ。
「何するんですか、
…嫌です、乗りません!!
出してください!!!!」
運転手から返事はなかった。

「きさらぎ駅」 バッドエンド2
「きさらぎ駅」 バッドエンド2

暴れるえりを押さえ込むようにして、白衣の男はえりの首に針を刺した。
意識を手放す最中、知らない言語が聞こえたような気がした。

広瀬えり : バッドエンド3

トンネルの先は、すべての色を吸収する黒が広がっている。
「…明かりなんてないし、どれくらい続いているかもわからないし。」
一歩踏み出すのをためらっていたときだった。
「おーい、線路の上を歩いちゃだめだよ」
背後に男の事を聞いた。
「………え」
振り向きざまに見えたのは片足の老人。
老人はなにをするでもなく、すぐに消えてしまったのだ。
「っ………!!!」
えりは本能的に駆けだしていた。
真っ暗闇のトンネルは、延々と続くかと思われたが、止まってしまうよりマシだと思えた。
走って、走って、体力の限界を迎えた頃、
トンネルの終わりが見え、ようやく駅にたどり着いた。
しかしえりはその場に膝から崩れ落ちた。

「きさらぎ駅」 バッドエンド3
「きさらぎ駅」 バッドエンド3

「……たぶんここも知らない」
左右反転文字の標識が目に入った。

広瀬えり : ノーマルエンド

えりは駅のホームで、八の字を描くように同じ場所を歩き回っていた。
始発の電車が来ると信じる反面、
「…ここから出られなかったら?」
その恐怖でじっとしてなどいられなかった。
余計な考えを振り切るように
頭を振ったときだ。
電車の走行音が聞こえてきたのだ。
「………来た!!はぁーよかったぁ…!」
えりは乗降口の扉が開かれると、
すぐに乗車した。
……。
その後、馴染みある駅に
無事到着し帰宅した。
「ただいまー…。」
午前5時半。家族を起こさないよう配慮したえりだったが、
「おかえりなさい、待っていたのよ。」
母は笑顔で玄関に立っていた。叱られるどころか、妙に機嫌がいい。
「ご飯にしましょうか、
---○※゜∧θちゃん。」
「……え?」
「お腹が空いているでしょう、
○※゜∧θちゃん。」
何度聞き返しても、自分の名前が聞き取れない。
「ご飯が冷めるわ、○※゜∧θちゃん。」
「なんか、変だよ……お母さん。」
よく知る母の顔を模った何かが、話しているようだった。
「それと私の名前は、」

「きさらぎ駅」 ノーマルエンド
「きさらぎ駅」 ノーマルエンド

「………あれ、」
「私の名前、なんだっけ。」

広瀬えり : 救出成功

空が白みはじめ、えりは駅のホームで静かに電車を待っていた。
「大丈夫、必ず電車は来る。」
「ここで降りたんだもの、
来ないはずがない。…そうでしょ?」
心を落ち着かせるように自分に言い聞かせ、
スマホをかたく握りしめたときだった。
電車の走行音が聞こえたきたのだ。
「………来た!」
電車はきさらぎ駅で停車し、ほどなくして乗降口の扉が開かれた。
……。
電車が発進し、えりはそれを
ホームから見送った。
「よかった、乗らなくて。」
”慌てずに冷静になって行動してくださいね”
「…私にはもったいない後輩ね。」
電車の行き先表示は、ぐねぐねとした文字で読み取れなかったのだ。
「きっとアレは、知らない場所に
行くんだ…。」
…待つことさらに数時間。
明るくなったことで、きさらぎ駅がずいぶんと錆びれていることがわかった。
そしてふたたび、電車の走行音が
聞こえて来た。
「……今度は大丈夫。」
それはよく知る、行き先だ。
……。
えりはその後、馴染みのある駅に
無事到着し帰宅した。

「きさらぎ駅」 救出成功
「きさらぎ駅」 救出成功

家に入り、キッチンに立つ祖母の小さな背中に声をかけた。
「ただいま、おばあちゃん。お母さんは?」
「………えり?」
振り返った祖母の驚いた顔を見て、えりもまた目を見張る。
「……うそ……。」
頬がこけ皺が刻まれた顔に、
母の面影を見た。
「お母さん……今日、何日?」

成田すばる 「八尺様」

成田すばる : バッドエンド1

「怒られる前に謝ったほうがいいか…。」
すばるは長身の女の元へ歩み寄った。
「……あの、」
目の前にして一層、その大きさが異様なのだと思い知る。
女はピクリとも動かない。
“………ぽぽぽ ぽ”
男のように低い声が、聞こえてくる。
“……… ぽぽ、ぽ、ぽぽ ぽ”
「……ご、ごめんなさい…
撮ったこと、謝ります。」
“……ぽ、ぽ ぽぽ、ぽぽぽっ ぽ”
「……あの、」
言葉は返ってこない。
……奇妙な音だけが続いた。
やはり怒らせているのか?
すばるはせめて表情を伺おうと、
近づき防止の下を覗き込んだ。

「八尺様」 バッドエンド1
「八尺様」 バッドエンド1

…そこには長い黒髪の間から、すばるを見下ろす大きな目と、
「……あ、あ………違う、」
ーぽ ぽ、ぽぽぽっ ぽぽぽっ
「笑っているんだ。」
……。
「ねえお義母さん、すばるがまだ帰ってきてないんですよ。」
母親がすばるの祖母に問いかけたときだ。
-ゴトッ。
棚からすばるの写真立てが落ちた。

成田すばる : バッドエンド2

すばるは足元に注意を払い、襖を開けた。
「……よし、大丈夫。」
こうしてすばるは家族の目を掻い潜り、クワガタを採集すべく、山へ向かった。
…。
「確かこの辺りに……。
ライトを取り出し、一本のクヌギを照らした。
「おお……いるいる、よしよし……。」
世界は捕捉する者と、捕捉される者とで成り立っている。
これから捕捉されるとも知らずに、甲虫達が蜜に群がっている。
「今捕まえてやるからな……。」
喜びに胸が満たされたとき、人は自然と笑みこぼれる。
すばるがクヌギに一歩踏み込んだときだ。
「……あれ。木の後ろに、なんか--」
--白い

「八尺様」 バッドエンド2
「八尺様」 バッドエンド2

“ぽぽ……ぽぽぽぽ、ぽぽぽぽ……”
口元に三日月のような笑みを浮かべた女が立っていた。
“ぽぽ、ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ……”
……。
世界は捕捉する者と、捕捉される者とで成り立っている。
すばるもまた、その一人だ。

成田すばる : バッドエンド3

“お-い怖けりゃ 無理せんで 出ておいで”
祖母の声だった。
気味の悪い部屋で一人取り残される
孤独から一刻もはやく解放されたかった。
「…出て行って、いいの?」
“どうした こっちに来てええぞ”
「でも、ばあちゃん……」
「さっきは、絶対声かけないって。」
“………どうした もう行ってしまうぞ”
「待って……!!!!」
すばるは襖に手を掛けた。
……。
「…………あ、……あ……………」
足がすくみ、恐怖で声が出せない。

「八尺様」 バッドエンド3
「八尺様」 バッドエンド3

祖母の声でそこち立つ、祖母ではない女がいた。
“ばあちゃんと 行こうな”

成田すばる : ノーマルエンド

「………んん。」
窓から差し込む光が、
すばるの顔を照らした。
薄目を開くと、真っ黒に変色したお札が手に握られていた。
記憶が脳裏を駆け巡り、…待ち望んだ朝が来たのだと安堵する。
「………ばあちゃん!お母さん!!!」
襖を開け放つと、よく知る家族の顔がそこにあった。
……。
「いいか、これから”いい”と言うまで目を開けるなよ。」
「……うん。」
祖母から新たにもらったお札を握りしめ、大きく頷いた。
すばるは話を聞き駆けつけた叔父の車で、一足先に家に帰ることになったのだ。
車を走らせてから数分、目をつむるすばるに叔父が声をかけた。
「…この地区を囲むように、東西南北四方に地蔵様がいるんだ。」
「八尺様は、地蔵様が立つ場所より先には進めん。」
「だからそれまでふんばれ。いいな。」
すばるが頷いたときだ。
“ぽっ ぽぽぽぽ、ぽぽ、ぽぽぽ ぽ”
「………おじさん、声がっ…!!」
瞼を固く閉ざしていたすばるだったが、
声に反応して薄目を開けてしまった。
--白いワンピースだ。
頭は車高よりも上にあるのだろうか、
服しか見えない。
あの大股で車と並走しているのか?
考えれば考えるほど、目が離せなかった。
「見るな!!!」
-叔父の声が耳に届いているというのに。
「あ…………おじさ……」

「八尺様」 ノーマルエンド
「八尺様」 ノーマルエンド

目を逸らすよりも早く、
頭が車内を覗き込んだ。
車が地蔵を横切る
ほんの僅か手前のことだった。

成田すばる : 救出成功

見慣れたカーテンから差し込む光が、すばるの顔を照らした。
「んん……。」
「すばる-起きなさい!」
「今日は-」
-登校日。
「そうだ……学校!始まるんだった!!」
すばるは布団を足蹴に飛び起き、リビングへ向かった。
すばるはあれから無事に朝を迎え、家へと帰り着いたのだった。
友達にクワガタを見せる約束は果たせなかったものの、あの奇妙な”音”も、大きな背も見ていない。
……。
『次は、”好きなあの子へ、アプローチ”のコーナーです!』
朝の情報番組を横目に、すばるは朝食をかきこんでいた。
『やっぱり~いつでもどこでも…彼の目にとまることが大事ですよね』
「……それって、たぶん逆効果だよ。」
「ごちそうさん、行ってきま-す!」
すばるは朝食を食べ終わると、鞄をさらって慌ただしく玄関へ駆けだした。
「みんなに話さなきゃ、…ぼくの夏の思い出は、きっと誰にも負けないもんね!」
……。
すばるが居なくなったリビングで。
母親がひとりで顔を真っ青にして
電話をしていた。
「……はい、お義母さん。
テレビを見ました。
すぐに連れ戻します…。」

「八尺様」 救出成功
「八尺様」 救出成功

『今朝入ったニュースです。』
『○△地区を囲むお地蔵さまのひとつが壊されていたとのことです。』

KAKERU 「くねくね」

黒崎かける : バッドエンド1

「まあ、礼儀ってのは大事か…。」
かけるは挑戦者に向かって声を投げた。
「おいお前。俺のこと知ってんのか?」
かけるの声に反応はなかった。

「くねくね」 バッドエンド1
「くねくね」 バッドエンド1

「…へぇ?ずいぶんな態度じゃねえか?」
「どんな面か拝ませてもらおうか。」
かけるはゆっくりとソレに近づいた。
……。
後日、ひとりの青年が精神病院に入った。

黒崎かける : バッドエンド2

「……ッハ、負けたなんて、
死んでも言わねえ。」
かけるは自らを鼓舞するように頬を叩いた。
踊り続けて5時間。
「……次、足を上げればそのまま
倒れちまう、情けねえな……。」
相手は憎らしくも、ユラユラと
揺らぎ続けている。
かけるの体力はついに限界を迎え、
力尽き倒れ伏した。
……。

「くねくね」 バッドエンド2
「くねくね」 バッドエンド2

「……なんだ、この力は。」
気付くとそれまでの疲れなどウソのように、
体が軽くなっていた。
「踊れる…踊れるぞ、」
かけるは再び立ち上がり、
揺れるように踊る
その姿はまるで--
……。
水田で白い影が二つ、
ユラユラとうごめいていた。

黒崎かける : バッドエンド3

かけるは、遠くを指さし震える友人の肩を揺さぶった。
「よっちゃん俺だ、かけるだよ。」
「……あの白いのは、何なんだ?」
すると、それまで口を閉ざしていた友人が口を開いた。
「………わからナい、ほうが、いい。」
「は……?ッはは、なんだよ
そのふざけた喋り方。」
-ふと。
遠くを指していた友人の指が、段々と下がり落ちていることに気付く。
「……え?」
かけるが指の先を追うように、視線を動かし
すぐ後ろにソレは居た。
-ユラユラと揺れる白い影に、
焦点が合う頃。

「くねくね」 バッドエンド3
「くねくね」 バッドエンド3

「……………あ わかッ た…。」
正体を理解したかけるは、ひどく気の抜けた声で、ゆっくりと呟いた。
……。
後日、青年は精神病院に入った。
無口な青年は、暇さえあれば窓の外を眺めているという。
窓の外には、見渡す限りの
水田が広がている。

黒崎かける : ノーマルエンド

かけるは友人をその場に置いて、
家に走り着いた。
「親父!!!…友人が……!」
昼間に居た父親に、これまでの経緯と友人のただならぬ豹変ぶりを訴えた。
父親は目を見張ったのち、諦めたように首を横に振るだけだった。
「……お前は見てないんだな?」
「俺は…はっきり見えなくて。」
「そうか、よかった……。」
それからかけるは父親から
十数年前、白い影を見た直後に
精神崩壊した子供の話を聞いた。
「…今もあのままだそうだ。」
「いいか、かける。今度遭ったら、
絶対に注視するな。」
かけるは黙って頷き、その日家から出ることはなかった。
……。
翌日。
かけるは帰省して早々、
帰らされることとなった。
「それじゃ俺、帰るよ。」

「くねくね」 ノーマルエンド
「くねくね」 ノーマルエンド

玄関の扉を開け放つと、
視界のいたるところに、
白い影が揺らめいていた。
「はは………俺の家って、」
“駅からずーっと、水田が続いていんだよ”

黒崎かける : 救出成功

「いいか、かける。今度遭ったら、
絶対に注視するな。」
家に帰り着いたかけるはその後-
父親から、白い影が”くねくね”と呼ばれる人型の怪異であることを聞いた。
「……わかった、絶対に見ない。」
「…明日帰れ。いいな?」
その日の夜、かけるはメッセージを
眺めていた。
“もう近寄らないでね”
「悪いな相棒、……その約束は、
守れそうにねえ。」
「バケモンが居る場所に、
親父残して帰れるかよ。」
ジリジリと夏の虫が鳴く真夜中。
真っ暗な水田に立つ、
ひとりの青年の姿があった。
「おい、俺だ。お前の好敵手(ライバル)
--KAKERUだ。」
「DANCE BATTLEしろ!!!」
その大声は、夜の闇に吸い込まれていった。
「……待っていたぜ、クネクネさんよ。」
遠くに揺らめく白い影を見ると、かけるは静かに目を閉じた。
「俺が勝ったら、よそに行ってくれ。」
かけるはこれまで培った技の
全てを繰り出し、最高のパフォーマンスを
ただひとりに捧げた。
-それは朝日を瞼の裏に感じるまで続いた。
トン、と何者かに肩を叩かれた。
「……かける、なにやってるんだ?」
よく知る父親の声だ。

「くねくね」 救出成功
「くねくね」 救出成功

「親父、……そこに何かいるか?」
「いや、何も。」
それを聞いたかけるは、口元に笑みを
浮かべた。
かけるはその後くねくねに遭遇することなく
長い夏休みを終えた。
「それじゃ親父、俺帰るよ。」
父親に見送られ、かけるは駅までの道のりを悠々と歩いた。
……。
夏の終わり、都市近郊に水田が完成した。

ぴより 「コトリバコ×メリーさん」

有村ひより : バッドエンド1

「あ、本当…非通知拒否すればいいんだ。」
スマホを非通知拒否に設定したのち、木箱を携え家を目指した。
……。
一人帰りのバスを待っていたときだった。
-着信音が鳴った。
「あれ………。」
スマホの画面には非通知の表示。
「たしかに非通知拒否にしたよね…?…もう一回設定しておこう。」
ひよりは”拒否”のボタンに指を添えたが
画面はフリーズしたまま、音声が再生された。

「コトリバコ×メリーさん」 バッドエンド1
「コトリバコ×メリーさん」 バッドエンド1

“どうして ワタシ ヲ 拒否するの”
「えっ………」
スマホから流れる声を、すぐ後ろで聞いた気がした。
……。
その日、ひとりの少女が苦しみもがいて息を引き取り、
見つけた母親までもが同じ死を遂げた。
腹部周辺の内臓が千切れていたそうだ。

有村ひより : バッドエンド2

家に着くこと、ひよりの体調は悪化の一途をたどっていた。
額には汗の玉がびっしりと浮かび上がる。
「………い、だ、…う………。」
腹部をうさえ、玄関でうずくなったときだ。
「………え、」

「コトリバコ×メリーさん」 バッドエンド2
「コトリバコ×メリーさん」 バッドエンド2

口から血が糸を引いたように流れ出た。
この状態が異常だと頭で理解していながら、
「……はやく、開けないと……。」
あの美しい木箱に意識が向いていたのだ。
……。
その日、ひとりの少女が苦しみもがいて息を引き取り、
見つけた母親までもが同じ死を遂げた。
腹部周辺の内臓が千切れていたそうだ。

有村ひより : バッドエンド3

ひよりは痛みを堪え、走り続けた。
“オイ テ イケ”
「………私の、命を………?」
背中に人形の気配を感じながら、
「こいつに、殺される………。」
そう確信した。
ひよりは走るのをやめ、振り返った。
そこには煤で汚れた西洋人形の姿があった。
「……この痛み、お前のせいね……。」
“オイ テ イケ”
「…………わかった。」
ひよりは人形に歩み寄ると、
力いっぱいに踏みつけた。

「コトリバコ×メリーさん」 バッドエンド3
「コトリバコ×メリーさん」 バッドエンド3

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいでもアナタが殺そうとするから悪い、ごめんなさい。」
ひよりは謝罪のことばを繰り返し叫んだ。
踏んで、踏んで、足で砕くたびに、奇妙な罪悪感に駆られた。
「……ここに置いていくよ、アナタをね。」
公園に人形だった物を残して、ひよりは家を目指した。
……。
その日、ひとりの少女が苦しみもがいて息を引き取り、
見つけた母親までもが同じ死を遂げた。
腹部周辺の内臓が千切れていたそうだ。

有村ひより : ノーマルエンド

足がもつれ、ひよりは地面に倒れ伏した。
「……いっ……、……殺され」
立ち上がろうと顔を上げた先に、
“ワタシ メリーさん”
人形が立ちはだかっていた。
「……ッ!…どうして……!」
“オイ テ イケ”
人形の指さす先は、ひよりの鞄だった。
「……木箱を置いて行けっていうの?」
「……………ダメ!」
「これは私が拾ったもの!!
私のなんだから…!」

「コトリバコ×メリーさん」 ノーマルエンド
「コトリバコ×メリーさん」 ノーマルエンド

すると人形は刃物をひよりに向けてきた。
「……っ!」
とっさに鞄で身を庇い、強く目をつむった。
-ザクッ
……いつまで経っても
痛みは襲ってこなかった。
ゆっくり目を開くとそこには、
穴の開いた鞄と、誰も居ない公園の景色が広がっていた。
「………あれ。」
ふと、ひよりは気付く。
あの不快な腹の痛みが消えていたのだ。
痛みが去ったにも関わらず、ひよりの表情は晴れなかった。
「ない、ない………。」
「奪い取るほどの価値が、
あの木箱にあるんだ。」
ひよりは何かに引き寄せられるように、
家とは反対方向に歩き始めた。

有村ひより : 救出成功

追われる理由が他にあるのだとうか。
ふと、隣り合う木箱と人形の記憶が脳裏をかすめたときだった。
足がもつれ、ひよりは地面に倒れ伏した。
「………いっ……、たたた。」
立ち上がろうと顔を上げた先に、
“ワタシ メリーさん”
人形が立ちはだかっていた。
“オイ テ イケ”
次に人形は、ひよりの鞄を指さした。
「これ、アナタの?
ごめん、勝手に持ち帰って…。」
「こんなに綺麗なんだもの、
盗られたら私でも怒る…。」
人形はただ無言でひよりに歩み寄る。
「わ、わかった、わかったから!」
名残惜しさはあったものの、ひよりは木箱を置いて公園を走り去った。
家の手前で、ふと気付く。
あの不快な腹の痛みが消えていたのだ。
……。
後日。取材に懲りたひよりは、図書館で資料を漁っていた。
「……ホラー小説のネタネタネタ
……うー……、」
一冊の本を手に、
パラパラと捲っていた時だ。
「これ……」
ある挿絵が目に留まった。
廃寺でみつけた木箱とそっくりだ。
「へぇ、コトリバコっていうのね。
可愛い名前。」
すぐにその考えは変わることとなる。
子供の体の一部を詰めた、呪いの箱。
近づいた女子供だけを苦しんだ上で殺す-
「子孫を奪う……子取り箱。」
ひよりは記述を目で追いながら、自分の腹を撫でた。
……。
「あの人形がいなかったら、私、もしかして死んでたのかな…。」
ひよりは公園を訪れていた。
人形の姿はどこにもなく、

「コトリバコ×メリーさん」 救出成功
「コトリバコ×メリーさん」 救出成功

ただ小さな服がそこにあった。

沢口 「ヤマノケ」

沢口りょう : バッドエンド1

「…話しかけるか。」
沢口は車を降りて、人影の元へ向かった。
「すいません、ちょっと道をお尋ね―」
声が届く距離まで近づくと、
フッと姿が消えたのだ。
周りを見渡すが、誰もいない。
「……は?え、……なんだ、見間違いか?」
「……もどるか。」
沢口が車に引き返そうと踵を返したときだ。
―グォン
辺りにエンジン音が轟いた。
車のヘッドライトが沢口を照らし、
その眩しさに、思わず腕で目を庇う。
「……お、おい!!!!!
誰だ、勝手に俺の車に―」
―ドンッ
猛スピードで発進した車に、
大きく跳ね上げられる瞬間、

「ヤマノケ」 バッドエンド1
「ヤマノケ」 バッドエンド1

運転席に、娘の笑う顔を見た気がした。
……。
後日。
山で男性の遺体が発見され、
その先の崖下で、転落したとみられる乗用車がみつかった。

沢口りょう : バッドエンド2

「横……?」
その意味を測るように、
沢口は首を横に向けた。
「………ッな、………」
助手席の窓の向こうに、通り過ぎたはずのモノが立っていた。
頭がない、そう錯覚するのも
無理はなかった。
胸元にニタニタと笑う顔があったのだ。
沢口は恐怖よりも先に、助手席で眠る娘に近づかれたという強い怒りの感情を抱いた。

「おいっ野郎!!!!
さよに近づくんじゃねえ!!!!!」
大声を張り上げると化物はフッと消え失せ、
娘が跳ね起きた。
「あ、悪いなさよ―」
起こしてしまったことを、娘に謝ろうとしたときだった。

「ヤマノケ」 バッドエンド2
「ヤマノケ」 バッドエンド2

「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」
娘は”はいれた”ということばを繰り返し
ニタニタと恐ろしい顔で笑いだした。
……。
「どうして、さよなんだ………。」
数か月経った今も、娘の顔はあのままだ。

沢口りょう : バッドエンド3

「……妙な寒気がしやがる
…って、馬鹿げているよな。」
沢口は車のドアに手を掛けて
一瞬ためらったが、勢いよく開け放った。
「……なんだ、やっぱり何も轢いてない。」
前方に回り、車の下も覗き込むがやはりなにもなかった。
「地面の凸凹のせいだろう。」
内心ホッとしつつ、沢口は車に乗り込んだ。
「……よし、起きてないな、
イイ子で寝てろよ。」
眠る娘を横目に、エンジンをかけた。
「とはいえ、轢くのはごめんだな…
安全運手で行こう」

「ヤマノケ」 バッドエンド3
「ヤマノケ」 バッドエンド3

「右見て、左見て…」
目が合うまで、あと二秒。

沢口りょう : ノーマルエンド

家に帰り着いた沢口と娘だったが、
「家に着いたぞ、今度は変な道入ったりしないから、またドライブ行こう。」
娘は沢口と顔を合わせs図、
黙って家に入っていった。
「……ありゃ、やっぱ怒ってんのか…?」
この時はさほど気に留めなかった沢口だったが、その日を境に、娘は口をきかなくなってしまった。
「気難しい年頃なのよ。女の子はいずれ、父親に反抗するわ。」
「…おいおい、まだ小学生だぞ?」
「女の子は成長が早いのよ。」
初めこそ妻の言うことに納得させられていたが、やがてその違和感は確信に変わる。
学校を休みだし、ついに部屋に引きこもるようになってしまったのだ。
無理に学校に行かせても逆効果、夫婦で出した結論だった。
……。
あれから50日が過ぎ、
夫婦は最終手段だと、家にカウンセラーを招いた。
沢口は娘の部屋の扉を叩く。
「……少しだけ、話をしよう?
優しい先生だ。」
すると扉越しに、小さく笑う声が聞こえた。

「ヤマノケ」 ノーマルエンド
「ヤマノケ」 ノーマルエンド

「…さよ?」
粟口は声を聞き取ろうと、
扉に耳をあてがった。
「…………テン、ソウ……」

沢口りょう : 救出成功

家に帰り着いた沢口と娘だったが、
「家に着いたぞ、今度は変な道入ったりしないから、またドライブに行こう。」
娘は沢口と顔を合わせず、黙って車を降りようとした。
「……ありゃ、やっぱ怒ってんのか…?」
さほど気に留めなかった沢口だったが、
”さよちゃんのこと、
よく見ててくださいね!”
顔見知りの言葉が胸に引っ掛かっていた。
「待て……怒っているならちゃんと言って―」
沢口は腕を掴み、振り向かせた。
「………ッさよ、……じゃねえ、な。」
一目見て娘ではないとわかるほど、異形な顔付きをしていた。
沢口はその足で住職の元を訪ねた。
娘がこうなった原因は、ヤマノケという怪異が取り憑いたせいだという。
「49日待ってこのままであれば、
……この先も」
「その先は聞きたくない。
とにかく、治す方法を……」
「わかりました……なんとか追い出す努力はしましょう。」
「ただし、ヤマノケが憑いている間はご家族で来ないでください。」
……。
今日で49日を迎えようとしていた。
ついに住職から連絡は来なかったが、夫婦は一刻も早く娘に会いたかった。
沢口は妻を連れ添い、住職の元を訪ねた。
「申し訳ありません……
最善はつくしたのですが――」
その言葉の先を想像し、これ以上になる悔しさと自責の念に駆られたときだった。
「……お母さん!お父さん!!!!!」
奧から現れた娘が、ふたりの姿を見るなりパッと表情を明るくしたのだ。
それは紛れもない、娘の顔だった。
住職が奇跡だと驚く傍ら、沢口と娘が抱擁を交わした。
「…イイ子にしてたな、今日はうんと美味いもん作ってやる。何が食べたい?」
「お父さん、私オムライスがいい!!!」
「オムライス?ダメダメ、もっと豪華な夕飯にする。」

「ヤマノケ」 救出成功
「ヤマノケ」 救出成功

「そうだ、ママは何が食べたい?」
妻は答えなかった。
「お父さん、オムライスがいい!!!」
「わかったわかった、父さん腕によりをかけて作るからな。」
『ヤマノケが憑いている間はご家族で来ないでください。
女性に取り憑きますから。』

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