「十三怪談 (旧 七怪談)」のレイ(口裂け女)のエンディング全文の公開です。
―すすり泣く声が、
耳元で聞こえた気がした。
…後日、とある高校が臨時休校となった。
学校の裏通りで、女生徒の惨死体が発見された。
死体は、口元が大きく切り裂かれていたという。
「ポマード、ポマードポマード!」
れいは何度も女に向かって叫び続けた。
友人を信じて、何度も何度も、叫び続けた。
二枚の刃が重なる、最期の瞬間まで。
女はコートに、返り血を浴びる。
外気に触れた血は、やがて黒く変わりはじめていた。
「じゃあ、」
「もう一度だけ、最後にもう一度だけ、お願いします。」
れいに背を向け、黙したまま去っていく。
…寒空の下、黒いコートを着た女が一人、赤く塗られた爪を、いつまでもみつめていた。