「十三怪談 (旧 七怪談)」の鳥井(わらしべ長者)のエンディング全文の公開です。
ざわつく声、サイレンの音。
周囲の人々が、トラックにはねられた男を囲むなか、藁人形を腕に抱いた少女が一人、笑っていた。
ざわつく声、サイレンの音。
周囲の人々が、トラックにはねられた男を囲むなか、赤い押し花をみつめる女が一人。
「すぐに、会えるわ。」
調べに対し男は、「観音様のお告げだ」等と意味不明な供述をしており…。
鳥井は空を見上げる。
手に、あのドレスはなかった。
「観音様の、おかげかもな?」
鳥井は商談を成立させ、契約を取ることに成功した。
翌月、ほんの少しだけ給与が上がっていたそうだ。
「まさか、こんな結末になるなんて…。」
鳥井はこの報道ニュースを、広いリビング、高級なソファに腰掛けワイングラスを片手に見ていた。
報道から数日と立たない内に、逮捕された男は変死を遂げる。
傍らには、藁人形が転がっていたそうだ。