「十三怪談 (旧 七怪談)」のほのか(だるまさんがころんだ)のエンディング全文の公開です。
うつむき頭を屈め、目をつむり、
両手の頭の上にそえられた。
その体制はまるでーー
”だ るま さん が ころん だ”
「……だれっ!!」
背後に気配を感じて
とっさに背後を振り返った。
「…もう、なんだよ……、なにもーー」
ほのかは背後から視線を移し、上を見上げた。
……。
一週間後。
近隣住民の通報により、とあるマンションの浴室から女性の遺体がみつかった。
天井の通気口から、
ほのかを見下ろす顔があった。
「………ッっ、ぇ………!!??!」
声にならない声をあげるほのかに向かって
通気口から黒い水を滴らせた手が伸びた。
……。
浴室に声が響く。
「………に、助け、るま、痛。、」
真っ赤に染まった浴室で、
彼女はただその場で助けを呼ぶだけだった。
とあるマンションで、
物音を聞いた住民がとなるの部屋にかけつけた。
女性はすでに息はなく
転倒による事故死として処理された。
浴室から踏み出す刹那、
ほのかの視線が
脱衣所の鏡に向けられた。
”ウエニ ハヤク コイ”
すりガラス越しには、何者かはわからなかったが、追い縋るように扉を叩いていた。
「っ…ひ、いや!!!!!」
ほのかはなりふり構わず
部屋を飛び出し、
すぐに大家に連絡を取った。
……。
それから間もなく、
ほのかのマンションを越した。
ほのかの部屋の真上にあたる位置、
上の階の浴室で、
女性の惨死体がみつかった。
現場に手足がなかったそうだ。
たぶん、早く見つけに来てほしかったんだよね……。」
「さて、今日もバスタイムといきますか♪」
それからというもの、ほのかは最上階にしか住まなくなったという。