「十三怪談 (旧 七怪談)」のKAKERU(くねくね)のエンディング全文の公開です。
「…へぇ?ずいぶんな態度じゃねえか?」
「どんな面か拝ませてもらおうか。」
かけるはゆっくりとソレに近づいた。
……。
後日、ひとりの青年が精神病院に入った。
「……なんだ、この力は。」
気付くとそれまでの疲れなどウソのように、
体が軽くなっていた。
「踊れる…踊れるぞ、」
かけるは再び立ち上がり、
揺れるように踊る
その姿はまるで--
……。
水田で白い影が二つ、
ユラユラとうごめいていた。
「……………あ わかッ た…。」
正体を理解したかけるは、ひどく気の抜けた声で、ゆっくりと呟いた。
……。
後日、青年は精神病院に入った。
無口な青年は、暇さえあれば窓の外を眺めているという。
窓の外には、見渡す限りの
水田が広がている。
玄関の扉を開け放つと、
視界のいたるところに、
白い影が揺らめいていた。
「はは………俺の家って、」
“駅からずーっと、水田が続いていんだよ”
「親父、……そこに何かいるか?」
「いや、何も。」
それを聞いたかけるは、口元に笑みを
浮かべた。
かけるはその後くねくねに遭遇することなく
長い夏休みを終えた。
「それじゃ親父、俺帰るよ。」
父親に見送られ、かけるは駅までの道のりを悠々と歩いた。
……。
夏の終わり、都市近郊に水田が完成した。