「十三怪談 (旧 七怪談)」のぴより(コトリバコxメリーさん)のエンディング全文の公開です。
“どうして ワタシ ヲ 拒否するの”
「えっ………」
スマホから流れる声を、すぐ後ろで聞いた気がした。
……。
その日、ひとりの少女が苦しみもがいて息を引き取り、
見つけた母親までもが同じ死を遂げた。
腹部周辺の内臓が千切れていたそうだ。
口から血が糸を引いたように流れ出た。
この状態が異常だと頭で理解していながら、
「……はやく、開けないと……。」
あの美しい木箱に意識が向いていたのだ。
……。
その日、ひとりの少女が苦しみもがいて息を引き取り、
見つけた母親までもが同じ死を遂げた。
腹部周辺の内臓が千切れていたそうだ。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいでもアナタが殺そうとするから悪い、ごめんなさい。」
ひよりは謝罪のことばを繰り返し叫んだ。
踏んで、踏んで、足で砕くたびに、奇妙な罪悪感に駆られた。
「……ここに置いていくよ、アナタをね。」
公園に人形だった物を残して、ひよりは家を目指した。
……。
その日、ひとりの少女が苦しみもがいて息を引き取り、
見つけた母親までもが同じ死を遂げた。
腹部周辺の内臓が千切れていたそうだ。
すると人形は刃物をひよりに向けてきた。
「……っ!」
とっさに鞄で身を庇い、強く目をつむった。
-ザクッ
……いつまで経っても
痛みは襲ってこなかった。
ゆっくり目を開くとそこには、
穴の開いた鞄と、誰も居ない公園の景色が広がっていた。
「………あれ。」
ふと、ひよりは気付く。
あの不快な腹の痛みが消えていたのだ。
痛みが去ったにも関わらず、ひよりの表情は晴れなかった。
「ない、ない………。」
「奪い取るほどの価値が、
あの木箱にあるんだ。」
ひよりは何かに引き寄せられるように、
家とは反対方向に歩き始めた。
ただ小さな服がそこにあった。